能登半島北東部(珠洲市付近)の地震活動
能登半島北東部の珠洲市付近では2021年9月16日にマグニチュード5.1(最大震度5弱)の地震や2022年6月19日にはマグニチュード5.4(最大震度6弱)の地震が発生するなど活発な地震活動が続いています。
珠洲市付近では地震数が増え始めた2020年12月頃から局所的な地殻変動が観測されており、珠洲市の地下の深さ15 km付近に存在する変動源がその原因であると考えられます。
地殻変動の様子は時間的に変化しており、地下の変動源の位置が変化していることが考えられます。この変動源によるひずみの変化や地下の断層への流体の流入により、地震活動の活発化が起こっています。
また、震源位置を精密に求めると、特に北部や東部の地震活動域では、小規模な複数の断層面で地震活動が起こっていることや震源位置の変化が流体の拡散で説明できることが分かりました。
一連の地震活動は南部の活動域から始っており、この地域は重力異常からカルデラ状の地下構造をしていることや震源分布が15 km以浅では棒状、15 km以深では円環状をしていることから、過去の火山活動に関連した構造を使って地震が発生したり、流体が地下深部から上昇していることが考えられます。
この流体の存在を示すものとして、電磁気観測から電気を流しやすい領域が南部の地震活動域付近にあり、そこから北部の地震活動域に延びていることや地震活動域の下に地震波速度の遅い領域があることが明らかとなっています。
2023年5月5日はM6.5の地震が発生しました。この地震の震源はそれまでの地震活動域の上端付近に位置し、その後の地震は以前の地震の震源分布の延長上に位置しており、それまでに地震が起こっていた断層面の浅部延長部分にM6.5の地震の断層面が位置すると考えられます。
また、M6.5の地震後に発生した地震の震源分布は、能登半島北岸沖の海底活断層である珠洲沖セグメントに向かって延びておらず、M6.5の地震の際に活動した断層は珠洲沖セグメントとは異なると考えられます。
珠洲市周辺の地震の3次元震源分布(M1.5以上 2018–2023/6/30 DD法にて決定)。星印は2023年のM6.5の地震、赤丸は2023年のM6.5の地震前、青丸は2023年のM6.5の地震後の地震の震源を表す。
関連事項として、日本地震学会広報誌「なゐふる」129号, 135号や地震予知連絡会会報に掲載の解説記事をご覧ください。
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