白山火山

白山の火山防災

白山は歴史時代に何度も噴火を繰り返している活火山です。平成25年3月に白山火山防災協議会が設置され、平成27年9月から噴火警戒レベルの運用が始まりました。また、登山届の提出が岐阜県・石川県の条例で義務化されました。

白山火山の地下構造

現在の白山は表面上は穏やかで山頂部で噴気等の火山活動は見られません。しかし、その直下ではときどき群発的な地震活動が起こっています。また、地殻とマントルの境界であるモホ面付近で低周波地震が発生しており、白山下に存在するマグマだまりにマグマを供給するプロセスを反映していると考えられます。

白山下を通る地震波を解析することにより、白山下の地震波速度構造を3次元的に得ることができます。図1は白山を通る南北断面で地下の速度分布を表したものです(高橋ほか, 2003)。白山下では深さ約10〜14 kmのところに、周囲よりP波とS波の速度が遅く、それらの比(Vp/Vs)が高い領域があります。これは、マグマだまりの特徴であり、白山下のマグマだまりの存在を示しています。

図1 白山下の地震波速度構造(高橋ほか, 2004)

また、白山周辺での地震観測結果から、白山下で起こる地震は山頂付近直下に集中し、特に山頂直下で浅くなることが分かりました(高橋ほか, 2003)。このことから、白山下の浅い部分に小さなマグマだまりがあることが推測されます。

これらのことを総合的に考えると、白山下には図2のように異なる深さに大きさのことなるマグマだまりがあることが考えられます。

図2 白山下のマグマだまりの概念図