約300年前の能登の大地震

約300年前に能登半島北岸の活断層を震源とするM6.9の地震が発生

能登半島北岸が約300年前に隆起した痕跡を発見し、その隆起は能登半島北方沖の活断層を震源とする M6.9 の地震により生じたことを数値モデリングにより明らかにしました。

輪島市から珠洲市にかけての海岸で、海水面付近の岩石に固着する生物(ヤッコカンザシ)の化石を採取し(図1)、 8 地点の化石の年代と固着地点の高さから,約300年前に海岸線が隆起したことが明らかとなりました。

図1

隆起した海岸線の範囲は約 30 ㎞で、最大隆起量は約 80 cmでした(図2)。能登半島の北方の沖合には,4つに区分される全長 100 km程度の活断層帯が分布することが知られています。採取した化石の分析結果から数値モデリングを行ったところ、このセグメントのうち、輪島市から珠洲市の沖合に分布する輪島沖セグメント(長さ 20km)が活動し、マグニチュード 6.9 の地震(2007年能登半島地震と同規模)が発生したことが示されました(図2)。

図2

歴史記録には1729年に能登半島北部で地震による被害があったことが記載されていますが、その震源断層は不明なままでした。今回発見された輪島沖セグメントを震源断層とする約300年前の地震の痕跡は1729年の地震の地震像を明らかにしたものであり、この結果は能登半島北方沖の活断層帯の活動性や能登半島における将来の地震・津波発生リスクを考える上で重要な知見となるものです。

上記の成果は以下の論文で発表されました。

Hamada M., Hiramatsu Y., Oda M., Yamaguchi H. (2016) Fossil tubeworms link coastal uplift of the northern Noto Peninsula to rupture of the Wajima-oki fault in AD 1729, Tectonophys., 670, 38-47.